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現代小説 更新中

「桐生は日本の機どころ」

「桐生は日本の機どころ」

大人の「上毛かるた」(7)桐生市

(き)・「桐生は日本の機どころ」



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桐生市は3方を山に囲まれた、小都市です


 西の西陣、東の桐生とうたわれた桐生市。
桐生市の絹織物の発祥は、「白滝姫」伝説の中に書かれています。


 昔むかし。年に一度。
地方の各村から一人ずつ選ばれて、京の都の宮中で、
一年ずつ奉公する決まりがありました
山田郡に住むある若者が、読み書きができるということで選ばれました。
選ばれた若者は、山賊や山犬の恐怖とたたかいながら、
やっとたどり着いた宮中で、庭の掃除をすることになりました。


 ある日、官女の白滝姫が、この男を見つけます。
悪気はなく、ただ田舎者をからかうような歌を詠んでしまいます。
どうやら白滝姫はこの若者が、読み書きができるとは思っていなかったようです。
若者は白滝姫の短冊を読み、それに対する返句を詠みます。
官女たちが、若者の歌のすばらしさにみな同じように感嘆してしまいます。
それを見て白滝姫は、わが身の行為を恥ずかしく思います。


 若者はその日以来、白滝姫の美しさに見惚れてしまいます。
白滝姫も、若者の利発さに心を惹かれるようになります。
やがて2人は、歌をかわす仲になります。


 そんな日々を経て、思い余った若者は宮中の高官に、
白滝姫をお嫁にもらえないかと訴えます。
若者の利発さを知っていた高官は、ひとつの条件を出します。


 白滝姫を相手に歌会で勝てば、嫁にやってもいいと言います。
白滝姫の詠む歌に、若者は見事な恋心をうたった歌で切り返します。
彼は歌会の誰もが認めるような美しい歌を詠みました。
そしてとうとう桐生へ、白滝姫を嫁として連れて帰る許しを得たのです。


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 おなじような話が、もうひとつあります。
その昔。六甲山の北にある山田の里に、左衛門という男がすんでいました。
あるとき左衛門は都へ出て、
御所の庭仕事にやとわれることになりました。


 ある日。庭をはいていると御殿の奥に、
たいそう美しいお姫様が座っているのが目にとまります。
このお姫様は、右大臣藤原豊成の娘で、名前を白滝姫といいました。
左衛門は一眼見るなり、すっかり白滝姫のことを好きになってしまいます。


 しかし、身分が違いすぎます。
あきらめようとしましたが、そう思えば思うほど、恋心がつのります。
そしてとうとう左衛門は切ない心を歌に詠んで、白滝姫へ送ります。

 「水無月の 稲葉(いなば)のつゆも ごがるるに 雲井を落ちぬ 白滝の糸」

 しかし姫からは、こんな歌が返って来ます。


 「雲だにも かからぬ峰の 白滝を さのみな恋ひそ 山田男よ」 


 雲にかかるほど、身分の高い私です、
あきらめなさい、そんな内容を歌ったつれない返事です。
けれど左衛門はあきらめません。もう一度、歌をおくります


 「水無月の 稲穂の末も こがるるに 山田に落ちよ 白滝の水」


 父の豊成は、左衛門が誠の心で白滝姫を思っていることを知ります。
話を聞いた天皇も、姫を左衛門のおよめさんにするようすすめます。
こうして左衛門は、白滝姫をおよめさんに迎え、喜び勇んで、
山田の里へ帰って行きます。


代表的な、桐生織り 

かつて使われていた、手織り機


 どちらも故郷へ、白滝姫を連れて帰ります。
しかし似たような話には、似たような結末が待っているものです。
まず、左衛門のその後です。

 
 京の都から山陽道をたどり、神戸の平野へ着くと里の人たちが、
ひどい干ばつで困っています。
それを聞いた白滝姫が手にした杖で、地面を突きます。
すると、みるみる清らかな水がわき始めます。


 里の人たちに感謝されながら、さらに烏原から急な坂を上がり、
長坂山をこえて、ふたりはようやく山田の里につきました。
佐衛門は貧しいながらも、けんめいにはたらきます。
白滝姫との間に男の子がうまれます。


 しかし。都で育った白滝姫にとっては、慣れない山里の暮らしです。
身体が弱ります。とうとう病気にかかり、ある年の梅雨のころ、
幼い子を残して死んでしまいます。


 一方、桐生に着いたもうひとりの白滝姫は、
官女のたしなみとして、織物の技術を身につけていました。
彼女の織物の技術が、村の人々に伝えられていきます。
これが今日の、桐生織の源になりました。

 
 けれど悲しいことに、こちらの白滝姫も
可愛い子供と旦那さんを残して、若くして亡くなってしまいます。
村人は「白滝神社」をつくります。
白滝姫を機織りの神様として、お奉りします。
いまでも境内の大岩に耳をあてると「とんからり とんからり」と
機を織る音が、聞こえてくるそうです。


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 かたや、悲しみにうちひしがれた左衛門も、
白滝姫を手厚く葬ります。
するとその墓の前から、清らかな泉がコンコンとわきだします。
水面に、栗の花が散り落ちてきます。


 それから毎年。白滝姫が亡くなったころになると、
墓には清水が満ち溢れ、決まって栗の花が舞い落ちてくるそうです。
お堂が建てられ、泉は井戸として大切にされています。
いまでも神戸の都由乃町(つゆのちょう)に、それは残っているそうです。


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