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現代小説 更新中

その3・稲を育てる

その3・稲を育てる

今年も見事に実り始めました

(12)棚田のはなし


田植えが終わってまだ2週間余りです

 棚田(たなだ)とは、
傾斜地にある稲作地のことです。
傾斜がきつい土地で、
耕作単位が狭い田が規則的に集積し
それらが一望の下にある場合は
千枚田(せんまいだ)などとも
呼ばれています。


 また、田んぼが段となって作られていることから
場所によっては、段々畑(だんだんばたけ)
とも呼ばれるようです。
その歴史をひも解いてみると、
予想を覆す、意外な事実が出てきました。


 日本での稲作の適地とは、
水はけが良く、水利が良い土地のことです。
土地には元々傾斜がありますが、傾斜が少な過ぎる土地や、
および排水しづらい土地は、湿地となるため水田には
不適地となるそうです。


 また灌漑をする場合にも、ある程度の傾斜が必要であり、
傾斜が少ない河川下流域の沖積平野では、
江戸時代以前には稲作をするのには、
不適当であったと言われています。


 そうなると、近世以前の稲作適地は、
地形で言えば、洪積台地や、河岸段丘の上ということになります。
平地の分類で言えば、盆地や河岸中流域などの傾斜のある土地となり、
集団化した農民が灌漑設備をつくって、棚田をつくったというのが、
一般的ということになります。
 (確かに・・・そういえば、平地に見える平たん部の田圃でも、
上流から下流に向かって、少しずつ段差が設けられ、
緩やかな階段状になるように工夫がされています。)

 近世以降は灌漑技術が向上して、傾斜が少ない沖積平野でも、
水路に水車を設けて、灌漑や排水が出来るようになりました。
その結果として、現在のような、穀倉地帯と呼ばれるような、
河川下流域の平野での稲作が広まったようです。


 日本の原風景とか、癒される景色として
ダントツにあげられるこの棚田の風景ですが、
実は、稲を育てるためにつくられた、
もっとも、合理的で機能的な結果の姿です。
水田とは、水を導きやすく、排出しやすいことが稲を育てるためには、
とても大切なことなのです。


 その辺の詳しい意味については、
明日の「中干し」で、説明をしたいと思います。
では、又、明日です。



(13)中干しの話


昔は手で植えていましたが。今はすべて機械で植えています

 水稲と一口に言いますが、
稲はその成長過程の中で、常に水の中で
成長を続けているわけではありません。
田んぼから水が抜かれ、
完全に乾燥させてしまうという、
特別な対策が
6月から7月にかけて行われます。

 
 稲には、「分蘖(ぶんけつ)」
という言葉が有ります
分蘖とは、稲の茎がだんだん
増えていくことを言い、
根もとから、茎が枝分かれして
増えて行くことを意味しています。

 田植のときは、若苗を2~3本しか植えないのに
成長するにつれて、たくさんの茎に増えていきます。
その茎に、お米となる稲穂ができるので、
分蘖がうまくいかないと、お米が獲れないという事になってしまいます。
分蘖が上手く進んでいるということは、稲がすくすく育って
いることの証拠です。


 この大切な時期に、「中干し」といって、
田んぼから、水をぬいて、土にひび割れが入るほどに
乾燥させることが有ります。
田んぼを強制的に干すことは、
稲作の中でも、きわめて重要な作業のひとつなのです。


 この頃になると分蘖が進み、
土の中の根の数が、少しずつ増えていきます。
まただんだんと暖かくなって、土の中に鋤きこまれた稲藁などから
メタンガスなどの、根に有害なガスも発生します。
(堆肥などから出る、異臭を放っているガスを想像してください。)


 この有害なガスを抜くために、田んぼの水をぬいて土を乾かし、
新鮮な空気をいれて、(酸素を供給する)
根を健全に成長させます。
また大地にしっかりと根を張らせるための、重要な作業であるのです。
根がしっかりと張っていないと、収穫に影響が出るばかりでなく、
美味しい米もできないと言われています。

 この中干しは、米作りの中でも重要な管理内容のひとつですが
田んぼを干すタイミングや、日数、干す程度などは、
長年の経験と実績にもとづいて、それぞれが
会得するとも言われています。


 田んぼから水をぬき、地面を乾かすと
稲の根は水を求めて、地面の奥深くまで伸びていくのです。
この根が、後で大事な役目を果たします。

 人間でも、適度な「断食」は健康に良いと言われています。
ニワトリでも、断食させたニワトリはまた再び、
よく卵を産むようになる(らしい)と言われます。 
空腹は最高のごちそうであるように、
水を切るのも、稲には最高のごちそうとなる(ようですネ)



(14)台風と天気予報

8月の初旬に白い花をつけてから、一日ごとに稲穂が成長を続けます


 この時期になると、
どこのお百姓さんも台風情報に注目をします。
雨や風で、稲が倒れてしまう事があるのです。
それはまた、悲惨なものです。
せっかくここまで育ててきたのに無残な姿になってしまいます。
収穫量に影響があることはいうまでもありませんが、
その倒れた姿を見る方が辛いのです。


 しかし、倒れる稲と倒れない稲があります。
倒れる稲は運がわるかった・・・
そこは風が強かった、雨が強かったという事もありますが、
全てがそうした原因ではないのです。


 最も重要な原因は他にあります。
風雨の強さではありません。
それは、稲の草丈や、茎の強さにあるのです。
草丈が長いと倒れやすくなるのは当然ですが、
そうならない様に、田植のときからの
生育管理が、とても大切になるのです。


 生育管理とは、
肥料の与え方や、水管理などがあげられます。
しかしその方法は、それぞれの田んぼ(土地)の土質や
地形によって、全く異なってしまいます。

 さらに、その年の日照条件や
気温や湿度、雨の降り方などによって、逐次、
管理方法をコントロールしなければなりません。


 したがって、お百姓さんは
長年の経験と、培ってきた“カン”に加えて、
その年の気象状況も考慮して、
総合的に判断しながら管理を進めているのです。
まさに、米作りは、植物と気象の総合プロデューサーです。


 77歳になる最長老は、毎日の気象の様子を
長年にわたって克明に書き残してきたそうです。
いち早く自然の変化を悟り、毎年のように、
美味しい野菜を育て上げてきた背景には、こんな地味な
データ―集めがあるのです。


 
  お百姓さんは 
その田んぼの(土地)の日照条件や
気温、湿度、雨の降り方を克明に知りたいのですが、
通常のテレビや、新聞の天気予報では、
そこまで細かく知らせてくれません。


 一部には、周囲1キロ限定の天気予報とか、
インターネットを活用した情報提供などもあるようですが、
まだまだ、全面的に活用されているわけではないようです。
多くは経験を積み重ねながら、自然の気象変化をいち早く読み取って、
農家はそれぞれに、対応を決めて仕事をします。


 自然の気象と共に歩み続けること、
それも農家の仕事のひとつです。



(15)良い種を選ぶ

黄色く見えているのは小麦です。後方に見えている案山子はこの地区のシンボルで、10メートル近い大きさがあります


 お米作りには、88の手間暇がかかっているから、
粗末にすると、お百姓さんに申し訳がない・・・
と昔から、よく言われたものです。
でも、知っているようで意外と知られていないのが、
このお米作りに関わる多くの工程です。


 これから、お米ができるまでの全工程について、紹介したいと思います。
といっても、あまりにも専門的な部分は、(適当に)割愛をいたします。
お米作りに挑戦するなら話は別ですが、一般的な知識と教養の範囲で、
全行程について、ふれてみたいと思います。
それでも、お米が「種もみ」から、その年のお米として
出来上がるまでには、たくさんの工程と手間暇がかかっていることを
理解していただけると思います。

 まず、おいしい米づくりの第一歩は、
良いたねを選ぶことから始まります。
良い種っていうのは、


・中身の充実した重い種で、
・芽や根が力強く出てきて、
・病気にもかかりにくいもの、


というのが大前提です。

▼塩水選

 悪い種もみは軽いので、塩水に浮くため、
種もみを、塩水に入れてより分けていきます。
近ごろはきちんと選別された種もみを、JA(農協)などが
一手にひき受けて、農家に供給をしていますが
自宅の庭先で、作業する農家もまだまだ、たくさん残っています。
 1ヘクタールの田んぼに、田植えをする苗を育てるために
必要な種もみは、約55kgといわれています。
(1ヘクタールは、およそ100メートル×100メートルの広さです。)

 まず、水が100?ちかく入る、大きな容器に塩を溶かします。
比重計で比重をはかりながら、少しずつ塩を溶かしていき、
ちょうど生たまごが横向きに、プカプカ浮かぶくらいに調整したら
種もみを入れます。
水面に浮いたものはすくい、沈んだ良い種もみだけを
ネットに小分けにしていきます。


 塩水選を済ませた種もみは、真水にひたします。

 種に水を吸わせるのは、
発芽に必要な水分をあたえることと、
発芽をそろえるという、狙いがあります。


 種の重さが25%くらい増えるまで水を吸わせます。
水に浸す日数は、水の温度と関係していて、、
毎日の平均水温を足して120度(これを積算水温といいます)
になる日数が、だいたいの目安です。
たとえば平均水温が10度では12日間、15度では8日間です。
均一に水を吸わせないと、発芽が不揃いになります。
種袋を、水の中で上下に揺らしたりして水の吸収を助けます。


 こうして、さらに2週間ほどしてから、
5ミリほど芽が出たところで、
ようやく(田植え用の)育苗箱に種まきをします。



(16)健康な苗を育てる

台風が接近中の早朝での撮影でした。被害がでないといいのですが


 田植えの前に、
まず健康な苗を育てなければなりません。
育苗箱(苗を育てる専用の箱)に詰める床土の良し悪しが、
根くみが良く、機械植えに適する健康な苗に
なるかどうかの決め手になります。


 床土には有害物や病原菌がなく、
適度な水もちと水はけがあり、通気性に富むものを選びます。
近年は重い床土の代わりに、
軽い代用品なども普及しはじめました。


 まず育苗箱に、
土を消毒する農薬を加えた床土と、肥料を詰めます。
そこへ播種機を使って、芽出しをした種を、
1箱が、150グラムくらいになるように、均一にまきます。


 まいた後には、うすく土をかぶせます。
種をまく時期は田植えの25日前ごろで、日本のコメどころと言われる
庄内地方では、4月15日前後が一般的なようです。


 稲作には古くから
「苗半作」ということばがあります。
これは、苗の良し悪しが、米づくりの出来を決めるほど
大切だという意味です。
種をまいた育苗箱を、ビニールハウスや、
ビニールをかけたトンネルの中に並べて育てます。
並べた直後は、箱の上にビニールやホットカバーなどをかぶせて、
芽の出る時期を揃えます。


 芽の長さが3センチメートルほどに伸びた時に、
このおおいを取りのぞきます。
田植えまでの苗は、人間で言えば赤ちゃんと同じですから、
特に、十分な注意をはらいます。


 育苗箱を並べてから5日間くらいは、
ハウスやトンネル内の温度を、昼は20~25度、
夜間でも10度以上になるようにします。
その後は昼は15~20度、夜間は5度以上になるように、
ビニールなどをときどき開いたり閉じたりして
温度を調節します。


 このころの苗は、
水や養分の吸収もさかんになりますので、
苗の状態や育苗箱の土の乾き具合を見て水や肥料をあたえ、
健康な苗に育てます。


 特に、冷害を受けやすい東北地方では、
稲の生育期間が短いだけに、悪い苗を田植えすると、
活着(根つきのこと)が遅れ、
初めの体をつくる分けつ(株分かれのこと)の期間が短かくなったり、
穂の出る時期が遅くなったりして、
収量や品質を落とすことにもなります。

 

 苗を育てるには、温度や水の管理に十分注意して、
軟弱な苗にならないように、中身の充実した太くてずんぐりした
苗を育てるようにします。
それが、良い苗で有り、丈夫な苗なのです。




田んぼの色合いの違いは、田植え時期の違いによるものです。早いところではすでに黄色く色付きはじめました 


その4・田植えから、稲刈りまで へすすむ
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