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現代小説 更新中

その4・田植えから、稲刈りまで

その4・田植えから、稲刈りまで [#t95ac08b]
田植えから約2カ月、真夏を迎えた水田の様子です

(17)良い土をつくる


田植えの終わったばかりの田んぼです

 田植え前の準備は、まだまだ続きます。
まずは稲づくりに適した土を、準備しなければなりません。
敵した土とは、稲の生長に必要な肥料分が
豊富に含まれている土、という意味です。


 中でも稲が最も多く必要とするのは、
チッソ、リン酸、カリで、これは肥料の3要素とも呼ばれ、
とても大切な役割を果たします。
また病気に強く、茎を丈夫にするケイ酸も
多く含まれている必要があります。


 次に、ある程度水はけが良く、
空気が十分含まれていて、根が生長しやすいように、
肥料分や、水分を吸収しやすくすることも大切です。
また、有機物が適度に含まれていて、
微生物(バクテリアなど)が生活しやすい土が
稲づくりには適しています。


 田んぼの土は、
いつもすべてが良い状態だとは限りません。
必ず何かが不足することがあって、その不足している
肥料分や性質を調べて、改善してやることが、
「土づくり」の基本です。

 たとえば、肥料分が不足する場合では、
「土づくり肥料」を入れたりして、バランスのとれた土にします。
これを、「地力」を上げると言います。


 地力とは、作物に
必要な水と肥料分と酸素を、
欲しい時に欲しいだけあたえることができ、
微生物の働きで、有害な病原菌が増えるのを防ぎ、
健康な作物を育ててくれる、
そうした力を持つ土のことです。


 その地力を高めるのが、有機物(堆きゅう肥や稲わら)です。
有機物は、土の中で微生物によって分解され、
チッソやカリなどの肥料分になるだけでなく、
土の中の空気の通り(通気性)や、水はけ(透水性)、水持ち(保水力)を良くし、
土の温度を高めたり、微生物の働きを活発にしてくれます。


 さて、こうした準備を経てから、
水が入る前の、田んぼを一度、耕します。
田んぼの乾き具合を見て、
堆きゅう肥や土づくり肥料を田んぼに散布してから、
トラクターで、15センチ以上の深さまで耕します。


 こうした準備を整えてから、
ようやく田んぼに、水が満たされるのです。

「代かき(しろかき)」


 代かきは、田んぼに水を入れたあと、
土の表面を平らにして、水の深さを揃えるために行います。
田んぼから水をもらさないようにするほか、
田植えをしやすくするためにも、こちらも大切な作業となります。



(18)田植え

植えられたばかりの稲の様子です



 5月10日ころから、
田植え機の軽快な音がひびきわたります。
このころに田植えされた田んぼでは、
実りの条件に最も適した、
8月10日前後に穂が出そろいます。


※ 群馬県では、冬に小麦を植えるために、
一部の田んぼではこれよりも遅く、
6月初めや、中旬に
田植えとなるところもあります。
このために、田植えの終わった水田と、刈り取りを待つ
黄金色の小麦が同居するという、2毛作を実践している
この辺特有の景色を楽しむこともできます※


 田植え機で植えるのに適した稚苗は、
本葉が2.5枚くらいのころの苗で、長さが12センチ前後です。
植える苗の数は、土の性質や品種の違いで少し異なりますが、
平均すると1平方メートル当たり、22株を植えます。
1株には稚苗を5~6本、束ねています。


 昭和45年ころまでは、
大ぜいの人が1株ずつ、手で植えていました。
1人が1日あたり、10アールほどを植えたようですが、
田植え機を使うと、2人の組作業で
1日に、2ヘクタールくらいを植えることができるようになりました。

■10アール=10メートル×100メートルの広さ(1000平方メートル)
 2ヘクタール=100メートル×200メートルの広さ(2万平方メートル)
 (1ヘクタールは100アールと同じ広さです)


 田植えのあと、苗から新しい根が出るまでは
田植え後の気温や田んぼの水温、風の強さなどによっても変わりますが、
だいたい5日から一週間ほどかかります。


 田植えの直後は、新しい根が出るのを助けるため、
しばらくの間、田んぼの水をやや深め(5センチくらい)にして、
寒さや風から、赤ちゃん苗を守ってやります。


 植えられた苗を管理するうえで、
生育調査は大切な作業の一つになります。
 調査する日を決めて、稲の背丈や株分かれの数、
葉の枚数、葉の色などの生育状況を調べ、
前の年や生育の標準となる稲の姿などと比較して、生長の状況を確かめ、
今後どのように管理すれば良いかの、計画をたてます。

 

(19)田んぼに溝をほる

群馬県東部のこの一帯では、田植えの時期は比較的遅く、6月になったからがほとんどです。


 田植えをしてから、株分かれが終るまでの稲は、
水管理に注意をはらいながら、田んぼの雑草を防除することも
大切な作業となります。
いまは、稲に影響を与えない成分の除草剤などが
活用できますが、昔は草取り器や、手で雑草たちを取り除きました。
これがたいへんな手間でした。


 ころ合いを見て、田んぼに溝を掘ります。

 稲の間に溝をつける作業(作溝)は、
土の中から肥料分や水分を吸収して、稲の生長を助ける根が、
土の中で、のびのびと働けるようにするためのものです。


 土の中の空気や温度を調節したり、
有機物の分解で出てくるガスをぬくためには、
きめこまやかな水管理が必要ですが、
この水管理をしやすくするのが、この溝づくりです。


 6月中旬から下旬にかけて、
作溝機を使って、稲の列2~3メートルおきに
15センチくらいの深さの溝を掘ります。


 目標とする穂の数と、
ほぼ同じ数に株分かれしたころから、稲は、
あまり水を必要としない時期に入って、土の中の根が、
どんどんと増えていきます。

 成長をさらに促すために、
今度は田んぼの水を抜いて土を乾かします。


 気温も高くなって、土の中の有機物の分解がさかんになると、
根に害となる、ガスの発生も多くなるためです。
そのために、田んぼの水をぬいて土を乾かし、
ガスをぬいて、新鮮な空気をいれ根の伸びを促してやります。


 田んぼの水をぬいて
乾かすこの作業のことを、「中干し」といいます。

■追肥

 茎の中に穂ができ始めるころから、葉の色が淡くなってきます。
穂の数や茎の中の籾数を増やしたり、
実るまでちょうど良い葉の色を保たせるために、
出穂の20~25日前に、チッソとカリ肥料を、加減しながら与えます。
これを、追肥(ついひ)と呼びます
早いものでは、8月の上旬に出穂期を迎えます



(20)米の病気

田んぼ一面に植えられた苗の様子です



 真夏のこの時期は、
稲の大敵「いもち病」をはじめ、
さまざまな病気や虫が発生しますので、
地域別に定められた
防除基準を守って防除をします。

 

イネのいもち病とは?  

 昔から、別名「稲熱病」と呼ばれ、
恐れられてきたイネの三大病害の1つです。
主として、葉、穂首、穂、籾などの
部位に発生します。
葉に多くの病斑が生じると、
草丈が伸びなくなり、
ひどくなると枯死してしまういわゆる、
「ズリ込み」と呼ばれる症状に至ります。


「いもち病菌」は糸状菌(かび)の一種です。
籾殻や稲ワラに付着した胞子の状態で越冬するといわれます。
越冬後は、胞子から菌糸が伸び、再び形成された胞子が、
空気中に飛散し、浮遊するようになります。


 平年では、6月に入って降雨量が多くなるとともに、
空気中に浮遊している胞子が雨滴に混じって、イネの葉の上に乗ることになります。
病斑が形成される好適な条件としては、
日照不足などが、あげられます。


 気温が15℃から25℃くらいで、
葉の濡れ時間が8時間から11時間以上などの条件が重なってくると、
発生しやすいともいわれています。

■穂が出てから実るまで

 7月上旬~中旬に茎の中に穂ができると
だんだん大きくなっていき、
8月上旬ころに茎の中から出てきます(これが、出穂です)。


 稲の一生の中で、穂の出る10~15日前ころが最も大切な時期で、
この時期に低い気温や乾いた強い風が吹いたり、
また干ばつにあったりすると、
実らない籾が出て、収量や品質が落ちてしまいます。


 稲は穂が出てから5~7日ほどで、すべての花が咲き
受粉が終わります。
受粉した籾は10日くらいで胚や胚乳ができ、
子房がふくらんで、実っていきます。

■稲刈り

 穂が出そろってから、およそ40~45日たつと、
黄金色の成熟期になります。
いつ刈り取るかは、収穫・品質・食味に大きく関係するので、
十分な注意が必要です。


 刈り取りを始める目安は、


〔1〕穂が出てからの積算温度(穂が出てからの毎日の平均気温を足した気温)が、
   ほぼ1000度に達し、

〔2〕全体の籾の中で、青い籾の割合が15~20%くらいで、
〔3〕籾の中の水分が25%前後、この3つの条件に達した時です。


 いまの時代の稲刈りは、おもにコンバインを使って、
刈り取りと脱穀(稲から籾だけをとる)を、
同時に行うのが普通です。



(最終話)美味しいお米を食べるためには

田植えから約1カ月、だいぶおおきくなりました


 籾(もみ)を乾燥させる


 3月に良い種を選んでから、6ヶ月をかけて収穫した大切な籾を、
品質と食味の良い玄米にするまでは、
ひとときも気のぬけない大切な作業(乾燥・調製)が続きます。

◆機械乾燥


 ほとんどの地方では、籾が機械で乾燥され、
このうち60%くらいは、大型の乾燥施設で行われています。
コンバインで刈り取られた籾は、平均25%前後の水分を含んでいますので、
これを15%になるまで乾燥します。
このとき注意することは、時間をかけてゆっくりとていねいに行うことです。

◆自然乾燥


 バインダーで刈り取ったものを杭にかけ、
天日で、およそ20日間かけて乾燥してから脱穀をします。
これを「天日干し」と呼んでいます
最近では、全体の2%前後といわれるほど少なくなってしまいました。
昔は、ほとんどが自然乾燥でしたが、今日では
貴重品ともいえるでしょう。

 

◆籾すり


 水分が15%以下になった籾を、籾すり機で玄米と籾がらに分けます(籾すり)。
籾すりされた玄米は粒の大きさ(厚さ)でより分けられ、
大きくて品質の良い玄米が出荷されます。

◆玄米から白米へ


 精米とは
「玄米を白米にする作業」(精白作業)のことです。
籾(もみ)から取り出した状態の玄米は糠(ぬか)がついたままで茶色い色をしています。
この玄米から茶色い糠の部分を削って白いお米にする作業のことを
精米と呼ぶのです。


 玄米はビタミンやミネラルなどの栄養素が多く含まれているのですが
残念ながら、あまり美味しくはありません。
たとえ健康に良くても、そのまま食べるには不向きな状態と言えます。
それを美味しく食べられるようにする作業が、精米なのです。


 ちなみに玄米の周りを、
7~10パーセントほど削り落とすため、
精米後の白米は、元の玄米の90~93%の大きさになります。

◆お米は精米したてが美味しい!」


 「美味しいお米」と聞いて、それって新米のことじゃないの?
と思った方もいるかもしれません。
もちろんそれも間違いではありません。


 JAS法に基づく「玄米及び精米品質表示基準」によれば
新米とは、収穫されたその年のうちに精白されて包装されたお米のことです。
水分を多く含んでいるためにみずみずしく、
柔らかで、甘みも香りもいいという特徴があります。


 とは言え新米は、一年中食べられるものではありません。
つまり、お米の鮮度が収穫の時期だけで決まるのなら
毎日新鮮なお米を食べるのは不可能ということになります。
 しかしお米には実はもう一つ、鮮度に関わる重要な要素があります。
それが、精米の時期・タイミングです。

 精米とは「玄米を白米にする作業」(精白作業)です。
ここで問題となるのが、精米されたお米は、
玄米に比べて遥かに酸化しやすいということです。
酸化が進むと、あのモチモチとした粘り気が失われて固くなり、
それに伴って、味もガタ落ちになってしまいます。


 お米は、精米した瞬間から
急激に鮮度が落ちていってしまうのです。
たとえスーパーで買ってきたばかりのお米であっても、
精米時期が古ければ、残念ながら新鮮とは言えません。


 つまり新鮮なお米とは、精米時期の新しいお米だと言えます。
お米の鮮度は、精米時期によっても決まるのです。
精米したての新鮮なお米の美味しさは、
ひと味もふた味も違います!

◆新鮮で美味しいお米を食べるには?


 美味しいお米を食べるためには、精米の時期に注意することが
大切だとお分かりいただけたと思います。
では具体的にはどのようにすればいいのでしょう?


 お米はできるかぎり酸化を防ぐため
「玄米で保存しておいて、食べる直前に精米する」のが一番美味しい食べ方です。
そうは言っても面倒そう…とご心配の方も心配ありません。


 最近は精米したてのお米を、
1kgから家まで届けてくれるお米屋さんも増えています。
精米済みのお米を、5kg・10kgとまとめて買ってくるよりも
こまめに精米したてのお米を買う方が、
食生活がぐっと豊かになるでしょう。


 また玄米で買っておいて、
コイン精米機や、家庭用精米機を使って、
その時食べる分だけ精米するというやり方もオススメです。
最近は“小型で多機能で価格も手ごろ”な
家庭用精米機も次々も登場しています。




水面に見えるのは、田植えを待つ田んぼです。手前に見えるのは、刈り入れを待つ小麦です


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