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現代小説 更新中

「夜の糸ぐるま」

「夜の糸ぐるま」

『夜の糸ぐるま』(1)「県都の前橋、糸の町」


前橋市内にある飲み屋街・呑龍マーケットはのんべいたちの憩いの広場です


 3月31日午前1時35分ごろ、前橋市千代田町にあるスナック
「夜来香(いえらいしゃん)」の 出入り口の木製ドアに、弾痕のような円形の穴が
三つあるのを店の女性従業員(43)が発見して、 110番通報した。
前橋署では、発砲事件として調べている。


 警察の発表によると、弾丸とみられる金属が店内からは二つ、
ドア前の路上から一つが見つかった。
店は30日午後10時に閉店し、女性が1人で店内を清掃していたところ、
31日午前1時ごろに 「パン」という発砲音を3回聞いたという。
女性にけがはなかった。


 「この女性というのは、お前のことだろう、貞園」


 新聞から目をあげた康平が、カウンターで頬杖をついている女にそう声をかけた。
女は呑みかけのグラスを揺すり、カラカラと氷を鳴らす。


 「不良の発砲事件が有ったばかりで、3人もスナックで殺された後だもの。
 痛くない私の腹まで、たっぷりと警察で探られちゃったわよ。
 香港マフィアの愛人だろうって、こってりと疑うんだもの。
 頭にきちゃうわ、まったく日本の警察は。
 第一、私は香港生まれでは無く、台湾出身だっていうのにさ」


 「たまたま旅行に行くママに頼まれて、代理で一日、顔を出しただけなのに、
 それはまた、とんだ災難だ。
 運が良いねぇ・・・それにしても貞園は。めったにある事じゃないし、
 まったくもってヒョウタンから駒の・・・いや、鉄砲の弾の大当たりだ。
 機嫌を直せよ、一杯おごるから」


 康平が自分のボトル、「黒霧島」の封を切ります。
黒霧島は九州の酒で、サツマイモを原料にした芳醇で本格派の焼酎です。
グラスへ半分ほど注いでから、60度ほどに冷ましたお湯を
ほぼ、グラスの口いっぱいまで注ぎます。


 「台湾人のくせに九州の焼酎が好みとは、変わっている女だ。
 しかも、本格的なお湯割りが大好きときやがる・・・・お客さん「ツウ」だねぇ」


 康平が、あははと、大きな声で笑います。
ここは群馬県の県都、前橋市にある通称が『呑竜仲店』と呼ばれている呑み街です。
康平はここのマスターで、貞園は2号と言う立場で、長年愛人暮らしを続けている
ただの常連客の一人です。


今日の一曲「夜の糸ぐるま」





続きはこちら
『夜の糸ぐるま』(2)


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