http://saradakann.xsrv.jp/y_key_1456d36d458ffacd.html

現代小説 更新中

短編『湯西川にて』(1)

短編『湯西川にて』(1)

短編『湯西川にて』(1)中卒の清ちゃんは、


見習いさんの、後姿


 湯西川温泉(ゆにしがわおんせん)は、
栃木県日光市(旧栗山村)の、日光国立公園内にある温泉地です。
温泉名の由来ともなった湯西川(一級河川利根川水系)の渓谷沿いに、
約500mにわたって旅館や民家などが立ち並んでいます。


 ほとんどの旅館では、
この渓谷に面した露天風呂を設置しています。
此処から見下ろす四季の絶景が、おおくの旅人の心を癒します。
郷土料理は季節により、湯西川で捕れるイワナやヤマメ、ニジマスなどの
川魚、山菜や舞茸、チタケ(チチタケ)と呼ばれるのキノコ類などの
山の幸が味わえます。


 また旅館によっては、野鳥や鹿、熊、山椒魚(サンショウウオ)といった、
珍しい郷土料理なども堪能できます。
「ばんだいもち」という、うるち米でついた餅を「ばんだい汁」や
「じんごろう味噌」などで食べる郷土料理も有名です。
温泉街の飲食店では、手打ちの「日光そば」も味わえます。


 旅館街から少し上流には、
昔は茅葺き屋根の民家を利用した土産物屋や食事処が
河畔の遊歩道沿いに並んでいて、それらも温泉街の一部を形成しています。


 湯西川の先祖は、平忠実が落ち延びたとされています。
平家の落人伝説が今でも残る集落としてもよく知られています。
温泉の発祥は天正元年で、400余年の歴史を誇り、平家の
落人の子孫が発見したと伝わっています。


 追討から逃れ、身を潜める山村生活を営み生きるために、
この地では今でも、端午の節句には鯉のぼりを揚げないといわれています。
たき火をしない(煙を立てない)、鶏を飼わないなどの
独自の風習が、長年にわたって残されています。


 鬼怒川温泉の奥座敷と称される
この湯西川温泉に、清ちゃんが芸者修業で訪れたのは
今から半世紀あまりも昔のことです。


 中学を卒業したばかりで、お下げ髪に赤いほっぺをしたこの女の子は、
当時、秘湯とされたこの温泉地にたった一人でやってきました。
しきたりと礼儀がひときわ厳しいと言われているこの世界で、
なおかつ、此処では一番怖いとも言われている、
現役芸者で置き屋を営むお春母さんのもとで、芸者修業を始めます。


 中卒が「金の卵」と、世間ではもてはやされた時代です。


 切れ長の涼しい目をしたお下げの小女の清ちゃんは、
15歳でセーラー服を脱ぎ棄てると、
ここ湯西川で、生まれて初めての着物を着ることになるのです。




画像の説明

コメント


認証コード2646

コメントは管理者の承認後に表示されます。

powered by Quick Homepage Maker 5.3
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional