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オヤジ達の白球(7)朗報

オヤジ達の白球(7)朗報

オヤジ達の白球(7)朗報


画像の説明


 「朗報だ。しかもとっておきのビッグニュースだぞ!」


 腰痛で寝込んでから8日後。祐介がひさしぶりに店を開ける。
開店してまもなく。常連客のひとりがドタバタと、息を切らせて駈け込んで来た。


 「なんだ、騒がしいなぁ。
 近所で三毛猫のオスでも生まれたか?。
 それとも、とうとうカミさんに愛想つかされて、夜逃げされたか。
 どっちにしろおまえさんのビッグニュースには、眉唾物がおおいからな」


 カウンターに陣取っていた常連客が、冷ややかな視線を男に浴びせる。
「馬鹿やろう。いつもといっしょにするんじゃねぇ。まずは黙って俺の話を聞け。
あ、そのまえに大将。水を一杯くれ。駆けてきたもんでのどがカラカラだ」

 
 駈け込んで来たのは、トラック運転手の坂上太一郎。40歳。
スポーツは大の苦手。肥満体で、走るのをもっとも苦手としている。
その坂上が、駆けてきたというからただ事ではなさそうだ。


 「聞いて驚くな。お前さんたちの期待をついに解明したぞ。
 例の謎の美人の正体が、判明した。
 どうだ。俺もやるときはやる男だということが、これで証明できただろう!」


 「へっ・・・女の正体が判明した?。
 よく言うぜ。どうせまた、いつものガセネタじゃねぇのか?」


 「一番女に縁のねぇ男が、例の謎の女の正体を解明したってか?
 ホントかよ。信じられねぇなぁ・・・」


 「なんだお前ら。疑っていやがるな。
 本当だとも。俺のこの目がしっかり、たしかに見届けてきた!。
 正真正銘のビッグニュースだぜ、今回ばかりは、な」

 
 「それが本当ならたしかにそいつはビッグ・ニュースだ。
 何やってんだ、おまえ。
 そんなところで水なんか飲んでないで、こっちへ来て詳しい話をきかせろ。
 大将も気がきかねぇなぁ。
 飲んべェに水なんか飲ませてどうすんだ。
 のどが乾いたときは、ビールと相場が決まっているだろう。
 大将。俺から一杯、ビールを出してやってくれ」


 男が奥のテーブルから、坂上を手招きする。
呼んだのは岡崎真也。こちらも40歳。坂上と同級生の間柄。
岡崎は、自動車部品のゴムを加工している。
ゴムが放つ独特の匂いと機械から発生する高温のため、若い世代から
もっとも敬遠されている職業のひとつだ。


 ドンとテーブルに置かれた生ビールを指さし、「遠慮なくやってくれ」と
岡崎がニタリと笑う。
この男も、ふらりとあらわれる例の謎の美人に熱をあげている。
坂上が「じゃ遠慮なく」と毛むくじゃらの右手を伸ばす。
その手を岡崎がかるく制止する。


 「おっとっと。
 念のために聞いておくが、ホントに例の女の正体が判明したんだろうな。
 お前には昔からそそっかしいところが有る。どうにも油断がならねぇ。
 間違いのねぇ情報なんだろうな、今回ばかりは?」


 岡崎の鋭い視線が、じろりと坂上の汗ばんだ顔を見上げる。


 「間違いなんかあるもんか。この目でしっかり見届けてきたんだ。
 なんだよ、同級生のおめえまで疑ってんのかよ、この俺のことを」


 「疑ってるわけじゃねぇが、おめえは信用できねぇ。
 だがその眼でたしかめたというのなら、どうやら今度はほんもののようだ。
 どうだ。もう一杯ビールを飲むか。何杯でもおごってやるぜ。
 おめえの話が、本物だと言うのなら」


 岡崎に呼応するように、男たちが奥のテーブルへ集まって来る。
「俺もおごってやるぜ。その話が本当なら」坂上の耳元へ、男のひとりがつぶやく。
飲んべェたちが、ぐるりと坂上と岡崎を取り囲む。


 「俺も乗ってもいいぞ、その話に。
 坂上は嘘はつかねぇ男だが、ほんとのことも言わねぇ男だ。
 世間じゃ千に3つホントのことを言えば、千3つと呼ぶが、そいつの場合、
 出まかせばかりの万空ばかりを言う男だ。
 その話が事実ならお前さんのビール代を一ヶ月分、俺が払ってやってもいいぞ」


 カウンターから人相の悪い男が声をかける。
「北海のひげ熊」と呼ばれている男だ。しかし喧嘩早いことから周りからは
「北海のがらっぱち」と呼ばれている。


 (8)へつづく

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