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現代小説 更新中

オヤジ達の白球(17)チームを作る

オヤジ達の白球(17)チームを作る

オヤジ達の白球(17)チームを作る


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 その数日後。いつもの時間に謎の美女がやってきた。
女がいつものようにカウンターへ座る。
その瞬間。男たちが腰をあげる。ぞろぞろと女の周りへ集まってきた。


 「あら・・・珍しいですねぇ今日は。
 でも、あたし、そんなに飲めません。
 みなさんに一度に来られても、あたし、日本酒は、2杯が限度ですので」

 
 ごめんなさい、期待に応えられなくて、と頭を下げる。
最初に寄って来た岡崎が、慌てて事情を説明する。


 「いやいや。誤解せんでください。遠慮することなどありません。
 いつものように飲んでください。俺たちがおごります。
 でもその前に、ひとつだけ答えてください。
 半年後に町内対抗の壮年ソフトボール大会が開かれますが、そこの審判員を
 頼まれているかどうか、それを教えてください」


 「はい。そちらも予定に入っていると思います。
 壮年のソフトボール大会が、皆さんと何か関係があるのですか?」


 「頼まれている!。なるほど、そいつは好都合だ。聞いたか大将!。
 これで俺たちの方針は決まったぞ。
 そうと決まったら、人を集めようじゃないか。
 姉チャン!。
 俺たちはいまからソフトボールのチームを作る。
 壮年のその大会に参加するぞ。
 大将。このネエチャンにすきなだけ飲ませてやってくれ。
 忙しくなってきたぞ。おい、集まれおまえら。
 早速チームの編成をするぞ」


 謎の女が唖然としている。


 「今からメンバーを募集する。
 その気のある奴は、こっちへ集まってくれ。
 もちろんのことだが、ソフトボールの経験がなくてもOKだ。
 あれれ・・・・
 この忙しい時に、言い出しっぺで、投手をやるはずの坂上の姿が見えねえな。
 肝心な時にどこへ消えやがったんだ。あの野郎。
 まさか、逃げ出したんじゃあるまいな。あの単細胞は・・・・」


 「坂上か。あいつなら、裏のブロック塀へ走っていったぞ。
 うずうずしてきたんで、投球練習をはじめるそうだ。
 なんだかいつになく、あの野郎からやる気が漂っていたぜ。
 もしかしたら、もしかするかもしれねぇな」


 「わかるもんか。あいつが熱くなるのは最初だけだ。
 しかし。やっこさんがやる気になっているのはいいことだ。
 だがよ、毎度のことで、いつまで続くか分かったもんじゃねぇけどな」


 「まあまあ。とりあえず坂上は放っておこう。
 じゃ、メンバーを受け付けるから、各自、名前と希望するポジションを
 俺に申し出てくれ」


 岡崎がガタガタとテーブルを引き寄せる。
店の奥で急きょ、ソフトボールチームのメンバー編成がはじまった。


 「あら・・・どういうことかしら?。
 なんだか・・・大変な騒ぎがはじまりまったようですねぇ」


 女がカウンターでクスリと笑う。


 「みんな、あなたが原因で始まったことです」


 特上吟醸酒の入ったコップを女の前に置きながら、祐介が笑う。


 「そういえば。
 あなたとこんな風に会話するのは初めてですねぇ」


 「はい。うふふ。
 いつものんべぇのみなさんに邪魔されています。
 たぶん、今夜が初めてです」


 女がうれしそうに笑顔をうかべる。


 「ソフトボールの国際審判員を目指していると、噂で聞きました。
 国際審判員というのは、難関ですか?」


 「国際審判員の試験は、数年に一度しか実施されません。
 第1種の資格を取った審判員のおおくが、最後の夢としてあこがれている超難関です。
 なにしろルールや技能ばかりでなく、英語の会話力も必要とされていますから」


 「なるほど。確かに難しそうな資格だ。
 そこまであなたが国際審判員にこだわっているのには、なにか
 特別な理由があるのですか?」


 いつものように頬杖をつき、日本酒のグラスを傾けている美女と、
厨房に立つ祐介の距離が、いつも以上に接近してきた。
だが誰もそんなことなど気にしていない。
奥のテーブルへ集まった男たちは誰ひとりとして、祐介と美女が2人きりに
なっているカウンターの様子など、まったく気にしていない。


(18)へつづく

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